Bing と Yahoo は異音同義なのか?
結局のところ、Microsoft と Yahoo の提携って、いったい、どういうことだったのでしょうかね?
おそらく、合意のための分厚い文書が交換されたんでしょうが、ここでは 以下の 3つのポイントに絞って考えてみるというか、推理してみたいと思います。
① Microsoft と Yahoo は、協調して Bing を成長させる
→ つまり、Yahoo は自社の検索エンジンを捨てる
② これからの 10年間にわたって、Yahoo は Microsoft だけに技術を提供する
→ つまり、Bing は Yahoo のテクノロジーを必要とする
③ 一定の期間、利益の配分は Microsoft 12%、Yahoo 88% とする
→ つまり、Microsoft は Yahoo からテクノロジーを買う
そして、以下の二点が謎として残ります。
Yahoo が手にするキャッシュは、数百億ドル/年 とかという話もあるが、短期的な実利を Yahoo が得て、長期的な展望を Microsoft が得るのか?
Yahoo は資金を調達するために、自らのテクノロジーを捨て、将来を絶ってしまうのか?
ちょうど一年ほど前に、Microsoft は Powerset を買収しています。 そして、Powerset は、Hadoop に深くコミットしていたという現実があり、そのときに Microsoft は Hadoop テクノロジーを手にしているわけです。 もし、Bing が Hadoop ベースだという仮説が成り立てば、基本的に Yahoo と基盤を共有することになり、上記の ① は有っても無くても構わない、かたちだけの条件だったことになります。 そして、残された謎も氷解します。
その後の Microsoft からは、Poewerset と Hadoop に関するコメントは無く、ちょっとした消息が PORT 25 に掲載される程度でした。 Powerset のテクノロジーを用いて、つまり、Hadoop のテクノロジーを用いて Live Search にテコ入れしようとしても、それを明らかにしないというカルチャーの中で Bing は成長してきたと推測できます。
ここで Yahoo の視点で考えてみましょう。 つまり、Bing が Hadoop ベースなのか、それとも、まったく異なるテクノロジーを基盤としているのか、その辺りを Yahoo が、どう捉えていたかということです。 その点を、Yahoo が見誤ることはあり得ないと思います。 そして、Hadoop を支援し続けてきた Yahoo だからこそ、実質的に Hadoop をコミットしている Microsoft との合意書にサインしたのだと考えることができます。つまり、① の条件は、名前だけのことであり、また、Yahoo の計画に遠回りが生じないことなのだと推測できます。
もし、今回の提携のアウトプットが "Microsoft と Yahoo は協調して Hadoop にコントリビュートします” というメッセージであれば、その方が自然な展開だったでしょう。 Hadoop を基本テクノロジーとする Yahoo から、今後 10年間におよぶ技術供与を受けるということは、Hadoop から Microsoft が恩恵をこうむることに他ならないからです。 オープンソースを支援していても、いつも何かがギクシャクしている Microsoft ですが、もっとスマートに振舞えないものでしょうかと、ついつい思ってしまいます。
Windows Azure のコンセプトは、WSSRA(Windows Server System Reference Architecture)から継続して考えられてきた、エンタープライズを対象としたものです。このブログのタイトルにも用いているように、それは素晴らしいアーキテクチャだと思うのですが、たとえば Web 検索という相対的に新しいワークロードに向いたものではありません。 その意味で、Azure をコアとしたクラウド・プラットフォームに、Hadoop などのオープンソースを加えていく姿勢には拍手です。
それだけに、ここで更に一歩踏み込んで、Microsoft 自身がもっと素直に、オープンソース・コミュニティの一員であろうとするなら、同社のステータスも上がるのになぁというのが、今回の Yahoo との提携をみての率直な感想です。
以上、突っ込みどころ満載の仮説・推論ですが、今回の提携を踏まえて、Hadoop にまったく依存しない Bing という論陣をはるほうが、はるかに難しいように思えます。



























